超音波の基礎と装置〜コンパクト超音波neoシリーズ

新装版について

本書は,ベクトル・コア社から発行されていた「コンパクト超音波αシリーズ 超音波の基礎と装置【四訂版】」の第6刷(2019年7月発行)を底本に,若干の修正を加え新装版として再版したものです.

書籍紹介

■ 「試験会場に行けば皆が持ってる」との言葉を頂くほど多くの方に活用されてきた一冊が,試験を受験した方の言葉を元に改訂され,旧シリーズでは四訂版が発行されていました.
■ 演習問題の強化と質問が多かった部分への解説の追加など,より試験を意識して内容を充実させています.
■ 超音波検査士認定試験の試験受験を考えている方に,まず始めに手にしていただきたい一冊です.

四訂の序

 コンパクト超音波シリーズは,図を中心として説明文は極力短い箇条書きが基本でしたが,今回の改訂にあたってはシリーズも新しくなり,文体を解説調に改めました.
 また,三訂版で強化した計算式の単位表記の明確化に加えて,計算式の変形や値の代入といった計算の過程を,順を追って理解できるように注記を付記しています.
 新たに巻末に「基礎を理解するための復習」を設けて,単位などのさまざまな基本的事項をまとめ,より基礎的な解説を盛り込んだほか,簡単な演習によって各項目のポイントとなる部分について答えを自ら導いてみることで,理解に役立つような工夫も加えています.
 基礎部分のみでなく,これまでに読者から寄せられた質問が多い項目について加筆し,少々難解なドプラの基本式についての解説を加えるなど,より深く学習したい方のための項目も充実させ,読者層の広がりも考慮した内容としました.
 超音波診断装置の自動化が進み,装置の原理を知らなくてもある程度適切な画像調整が行えるようになってきていますが,基本原理を理解しさらにステップアップを志す方々に役立つことを期待しています.

見本ページ

▶ 物理性質ー波
▶ 物理性質ー波の周期
▶ 物理性質ー反射
▶ 物理性質ービームプロファイル
▶ 原理と方式ー配列型探触子

▶ 装置の調整ーダイナミックレンジ
▶ アーチファクトーサイドローブ
▶ ドプラ法ードプラ法の基本原理
▶ 計測の原理ーBモード計測
▶ 安全管理ー電気安全

▶ 基礎を理解するための復習ーよく使われる[単位]
▶ 基礎を理解するための復習ー三角関数

目次

【1章 物理性質】
▶ 超音波の診断への応用
超音波とは
超音波診断への応用
超音波診断の特徴
▶ 波

音波
▶ 波の周期
波の周期
波の種類
波の加算
▶ 波と周波数成分
波に含まれる周波数成分
間隔をおいて繰り返すパルス波の周波数成分
▶ 波長と音速
音速による波長の変化
波長
周期の単位と波長の単位
音速と波長の関係
▶ 反射
反射
臨界角
群体からの反射
▶ 屈折
▶ 干渉
▶ 回折
▶ 散乱
散乱
スペックルパターン
▶ 減衰
減衰
周波数依存減衰
▶ 音場
音場
超音波ビームの広がり方
超音波ビームの形状と振動子の口径D,波長λの関係
▶ ビームプロファイル
ビームプロファイル
音響レンズ
▶ 距離分解能
▶ 方位分解能
【2章 原理と方式】
▶ 超音波診断装置の構成
▶ パルス反射法の基本原理
▶ Aモード表示
▶ Bモード表示
▶ Mモード表示
▶ Bモードの走査方式
超音波ビームの走査方式とスキャナ
主な走査の種類
各方式の主な用途
▶ プローブの構造と各部の働き
プローブ(探触子)の構造
振動子と圧電効果
音響整合層
バッキング材
▶ 機械走査方式
機械式セクタスキャナ
機械式リニアスキャナ/アークスキャナ
機械式ラジアルスキャナ
▶ 配列型探触子
▶ リニア電子走査
▶ 電子フォーカス(送信)
電子フォーカス
送信多段フォーカス
▶ 電子フォーカス(受信)
電子フォーカス
ダイナミックフォーカス法
可変口径法
▶ オフセットセクタ走査(コンベックスプローブによる走査)
▶ セクタ電子走査
▶ 各種プローブ
さまざまな形状のプローブ
アニュラアレイスキャナ
2次元配列型探触子
▶ カップリングメディア
超音波ゼリー
超音波カプラ
バルン
▶ 走査線と時間
走査線と時間
走査(断層像)と音響的フレームレート
▶ 時分割スキャン
▶ 広帯域送受信
エコーフィルタ
マルチ周波数切換
【3章 装置の調整】 
▶ 装置の調整
送信条件の調整
受信後の調整
▶ 対数増幅
対数増幅
▶ ゲイン
▶ ダイナミックレンジ
▶ STC
STC(TGC)
▶ エコーエンハンス
【4章 アーチファクト】
▶ サイドローブ
サイドローブ
サイドローブの見え方
▶ グレーティングローブ
▶ 多重反射
多重反射
残留多重反射
▶ ミラーイメージ
▶ 音速の違いによる画像の歪み
▶ 屈折によるアーチファクト
【5章 ドプラ法】
▶ ドプラ法の基本原理
ドプラ効果
ドプラ効果の考え方
超音波ドプラ法の基本原理
流れの方向と音の送受信方向がなす角度θについて
▶ 角度補正
▶ ドプラ偏移
波に含まれる周波数成分
連続波のドプラ偏移
間隔をおいて繰り返すパルス波のドプラ偏移
参照周波数
折り返し現象(エイリアシング)
ゼロシフト機能
ドプラ偏移と流速の関係
▶ ドプラ法の種類
超音波検査に用いられるドプラ法の種類
それぞれの方式の特徴
血流速度と各種ドプラ法の適用範囲
ドプラ法に用いられる周波数分析法と表示法
▶ 連続波ドプラ法
連続波ドプラ法
振動子の構造による分類
▶ パルスドプラ法
パルスドプラ法
ドプラの時分割スキャン
最大検出可能流速
サンプルボリューム
▶ ドプラ波形の意味
ドプラ波形の意味
ドプラ波形の平均値
▶ HPRF法
▶ パルスドプラ処理回路の構成
▶ カラーフローマッピング法(カラードプラ法)
カラーフローマッピング法
CFM法表示の種類
CFM法の表示色
▶ パワー表示
パワー表示
パワー表示の特徴
速度表示とパワー表示
角度依存の少ないパワー表示
▶ ウォールフィルタ
ウォールフィルタ
ウォールフィルタの影響:CFM法
ウォールフィルタの影響:PWD法/CWD法
【6章 新しい応用】
▶ ハーモニックイメージング
ハーモニックイメージング
ティッシュハーモニックイメージング
ティッシュハーモニックイメージングの効果
コントラストハ一モニックイメージング
▶ 3Dイメージング
▶ エラストグラフィ
【7章 表示と記録】
▶ 画像処理回路
デジタルスキャンコンバータ
▶ A/D変換
▶ D/A変換
▶ モニタ(ディスプレイ)
モニタ(ディスプレイ)
モニタの調整
▶ ガンマ特性
ガンマ特性
ガンマ補正
▶ モニタの走査
TV走査とアナログ映像信号
▶ 画像記録と保存
ハードコピー
デジタル記録
▶ 画像プリンタ
熱転写式カラープリンタの原理
白黒サーマルプリンタの原理
▶ デジタル記録と電子保存
DICOM規格
電子保存の三原則
【8章 計測の原理】
▶ Bモード計測
▶ Mモード計測
▶ ドプラモード計測
▶ ヒストグラム計測
▶ 計測の精度
▶ 面積・周囲長計測
面積計測
周囲長計測
楕円近似による周囲長計測
▶ 体積計測
【9章 安全管理】
▶ 電気安全
電気安全
漏れ電流の許容値[mA]
▶ 音響安全
音の強さ
音響パワーの測定
MI(Mechanical Index)
TI(Thermal Index)
ALARAの原則
▶ プローブの洗浄・消毒と滅菌
洗浄・消毒・滅菌の手順
洗浄・消毒・滅菌時の注意事項
一般に用いられる消毒液・ガス
消毒液やガスの使用ができないプローブの扱い
▶ 日常の点検整備
設置上の注意
装置使用前の点検
装置使用後の点検
ファントム
【10章 基礎を理解するための復習】
よく使われる[単位]
[単位]の計算と表記法
グラフの読み方
三角関数
ベクトル
指数
対数
デシベル
デシベルの応用
 索引